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前頭側頭型認知症介護の基本~常同行動の利用~

更新日:2021/12/08

記事監修

大阪大学大学院 医学系研究科 精神医学教室 教授
池田 学 先生

原因ははっきりとはわかりませんが、脳のなかの前頭葉(人格や社会性、言語に関与)と側頭葉(記憶や聴覚、言語に関与)の神経細胞が少しずつ壊れていくことによって、さまざまな症状が出てくる認知症です。脳の前方部の機能が低下するため、後方部を中心に機能が低下してくるアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症とはまったく症状が異なるのが特徴です。若年で発症することが多く、多くの人が70歳頃までに発症します。

病気を理解して、介護疲れにならないようにする

前頭側頭型認知症は、発症年齢が比較的若く、ご本人が「自分は病気である」という自覚が乏しいこと、社会的にトラブルになる行動なども目立つため、他の認知症以上に、ご家族による介護の負担や悩みは大きなものとなります。ご家族だけで抱え込まず、専門医や福祉サービス、家族会など専門の方、同じ境遇の方々と情報を共有し、連携していくことも大切となります。

常同行動を利用する

前頭側頭型認知症の特徴的な症状に同じ行為を繰り返す「常同行動」があります。
これを逆に利用して、ご本人の生活に適したケアを行うことも効果的です。例えば、毎日同じ時間にデイケアに通う、同じスタッフとなじみになるなど、「時刻表的行動」を生活の中にうまく取り入れられれば介護の負担も軽減できます。強引に止めてしまうと、急に怒ったり、暴力を振るったりすることもあります。できる限りご本人の意思に任せて自由にさせることも必要です。

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